【ワンシーン批評】『台風クラブ』:もしも明日が雨ならば・・・。(ネタバレなし)
はじめに
みなさんこんにちは。ナガです。
今回を最初の投稿としまして、はてなブログの方でサブブログを運営していこうと思います。私のメインブログはライブドアブログの方にありまして「ナガの映画の果てまで」というブログ名で運営しております。そちらの方もご覧になっていただけるという方は以下のリンクからどうぞ。
さて当ブログでは毎回1つの映画の中から1シーンのみを抽出してご紹介し、それについてのお話をしていこうと考えております。
まずブログを始めるに当たって自己紹介が必要でしょうし、最初の10記事は自分のオールタイムベスト映画10作品について書いていこうと考えております。
そして記念すべき第1回目の作品は『台風クラブ』になります。この作品は私が最も大好きな映画です。本記事を読んで、興味を持ってくださる方がいれば嬉しいですね。
作品情報
タイトル:台風クラブ
監督 :相米慎二
脚本 :加藤祐司
製作 :宮坂進
出演者:三上祐一
紅林茂
松永敏行
工藤夕貴
大西結花
音楽 :三枝成彰
撮影 :伊藤昭裕
編集 :冨田功
製作 :ディレクターズ・カンパニー
配給 :日本の旗 東宝/ATG
公開 :日本の旗 1985年8月31日
上映時間:96分
製作国 :日本の旗 日本
言語 :日本語
今回のワンシーン
少年少女は踊る。台風など怖くないと言わんばかりに。"汚れた"大人になりたくないという等身大の嫌悪感と将来への漠然とした希望や不安が同居する刹那的で輝かしい青春の1ページだ。
シーンの説明
高校受験を間近に控えた地方都市の中学3年生たちは"汚れた"大人に辟易とし、そんな大人になりたくないと葛藤していました。そんな時に街に台風が直撃します。主人公たちは台風の夜に学校で「もしも明日が・・・」を口ずさみながら踊り始めるのでした。
批評:もしも明日が雨ならば・・・。
中学生にとって将来というものは漠然とした不安です。それでも中学3年生になると必然的に最初の進路選択が迫ってきます。それは自分がどんな大人になるかを決める最初の選択です。どんな学校に進学するのか、はたまた就職するのか。
それはまさに台風のように迫って来て猛威を振るいます。人生の決定を猶予された者たちの安全地帯にやって来た台風は風を吹かせ、大雨を降らせ、子供たちにこれから待ち受ける人生の厳しさを突きつけています。
それでも子供たちは"汚れた"大人になりたくないと抵抗を続けます。台風が来ても、自分たちは子供のままだ!大人にはならない!モラトリアムの延長を願わんと言わんばかりに台風の夜に踊るのです。
少年少女はわらべ「もしも明日が・・・」を口ずさみながら、下着のみを身につけた姿で踊っています。この歌は「愛する人」を待ちわびるかのような歌詞になっています。「愛する人」とは彼らにとってぼんやりとした明るい未来で、それが自分を待ってくれている、自分を迎えに来てくれるという白馬の王子様を待つ王女のような思想に憑りつかれているわけです。
それでも"汚れた"大人になりたくないという中学生たちの純真な願いと将来への希望的観測が台風の夜に刹那的な輝きを放ちます。それは台風が去るまでの儚い光と分かっているからこそ美しいのです。
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今回も読んでくださった方ありがとうございました。