ナガの短く映画を語りたい

改まった解説や考察をするつもりはありません。とにかく適当に映画語りしていきます。

【ワンシーン批評】『アバウトタイム』:映画を見ることの原初的な喜びを思い出させてくれる(ネタバレなし)

 

はじめに

 

 みなさんこんにちは。ナガです。

 

 今回はですね映画『アバウトタイム』についてお話していこうと思います。とりあえずこの映画のレイチェル・マクアダムスが可愛すぎるということに関して異論はないと思います。

 それはさておき本作は映画ファンの間でも非常に人気の高い作品ですね。私もBlu-rayを購入して何度も見返してきた作品です。

 

 この作品はタイトルの通りで時間をテーマにした作品です。今というかけがえのない時間を大切にして生きることの重要性を今一度思い出させてくれます。

 

 また映像的にも非常に美しいシーンがたくさんあります。特に結婚式当日に強い雨と風に襲われながらも、それをも楽しもうとする主人公の姿が目に焼き付いています。

 タイムスリップをする中で主人公が少しずつ「時間」の持つ意義に目覚めていく姿が緻密に描かれており、非常に共感的に見れる映画です。

 

 今回はそんな『アバウトタイム』からワンシーンを抽出して紹介してみようと思います。

 

作品情報

 

邦題:アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜
原題:About Time
監督:リチャード・カーティス
脚本:リチャード・カーティス
製作:ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー
出演者:ドーナル・グリーソン/レイチェル・マクアダムス
音楽:ニック・レアード=クロウズ
主題歌:『The Luckiest』ベン・フォールズ/『Into My Arms』ニック・ケイヴ『Lakehouse』オブ・モンスターズ・アンド・メン(予告編のみ)
撮影:ジョン・グレセリアン
編集:マーク・デイ
製作会社:ワーキング・タイトル・フィルムズ/レラティビティ・メディア
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/Synca/パルコ
公開:2013年9月4日
上映時間:124分
製作国:イギリス/アメリカ合衆国
言語:英語

 

今回のワンシーン

 

何気ない日常を追体験することで日々の些細な機微を楽しむ。

本作の中で主人公が辿りつく1つの答えは映画の原初的な存在意義ではなかったか?

我々はリュミエール兄弟が映画というものを発明したころの純粋な喜びに立ち返る。

 

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映画『アバウトタイム』より引用

 

批評:映画を見ることの原初的な喜びを思い出させてくれる

 

 リュミエール兄弟がシネマトグラフを開発した頃、映画は現実を超越したものと言うよりも、現実を追体験するものでした。自分が普段何気なく過ごしている日常の風景を客観的に見ることで、そこに隠された世界の機微に目を向け、それを楽しむというところに「映画の喜び」があったのです。

 本作『アバウトタイム』では主人公が日常をタイムスリップによって追体験することで一度目には気がつかなかった人生の美しさに目を向けることが大切だと感じるようになります。彼が気がついたその喜びとはまさに映画見ることそのものが持つ根源的な喜びではないですか。

 

 また私の敬愛するヴィム・ヴェンダース監督は映画において重要なのは「時間に対する誠実さ」であると説きました。元は画家だった彼が絵画に限界を感じ、映画に傾倒するようになったのは、映画の中には時間が存在するからであり、それこそが物語を生み出すために必要な最重要要素だと感じたからに他なりません。

 『アバウトタイム』は時間についての映画であることに間違いないのですが、それ以上に「アバウトフィルム」つまり映画についての映画なのです。

 

 今回取り上げたシーンは何気ない地下鉄の風景です。皆さんも仕事で疲れた身体をいたわりながら眠気と戦いながら毎日家を目指していることでしょう。そんな時にふと聞こえてくる誰かのイヤホンからの音漏れ。疲れている自分にとってはノイズなのかもしれません。

 しかしそれを俯瞰で見てみると、人生を楽しむヒントなのかもしれません。人生を楽しむヒントは日常の些細なところに転がっている。結局はそれに気がつくか、気がつかないかの差です。ただ我々はどうしてもそれに気がつきにくいのです。

 

 そんな時に世に現れ、我々に人生の楽しみ方を教えてくれたものこそが映画だったのではないでしょうか?『アバウトタイム』はそんな映画を見ることの喜びを思い出させてくれます。

 

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